精密板金加工コラム

マルテンサイト系ステンレスとは?|高い硬さと強度を持つステンレス

ステンレスにはいくつかの種類がありますが、その中でも高い硬さと強度を持つのが「マルテンサイト系ステンレス」です。 
オーステナイト系のSUS304やフェライト系のSUS430とは異なり、熱処理によって硬さや強度を高められることが大きな特徴です。 
刃物や工具、機械部品など、耐摩耗性や強度が求められる製品に使用されています。 
今回は、 
マルテンサイト系ステンレスとは? 
主な特徴 
代表的な鋼種 
オーステナイト系との違い 
加工時の注意点 
について分かりやすく解説します。 
 

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マルテンサイト系ステンレスとは? 
 

マルテンサイト系ステンレスは、クロム(Cr)を含み、熱処理によって硬化できるステンレス鋼です。 
代表的な鋼種には、 
SUS410 
SUS420J1 
SUS420J2 
などがあります。 
特にSUS420系は、硬さや耐摩耗性が求められる部品に多く使用されています。 
 

マルテンサイト系ステンレス

マルテンサイト系ステンレスの特徴 
 

◎ 高い硬さ・強度 
熱処理を行うことで、硬さと強度を大きく高めることができます。 
そのため、摩耗に強い部品や強度が必要な部品に適しています。 
◎ 耐摩耗性に優れる 
硬さを高められるため、繰り返し接触したり、摩擦が発生したりする部品にも使用されます。 
◎ 耐食性がある 
ステンレスなので一般的な鋼材と比較して錆びにくい特徴があります。 
ただし、SUS304などのオーステナイト系と比較すると、耐食性は一般的に劣ります。 
◎ 熱処理ができる 
マルテンサイト系の大きな特徴です。 
焼入れ・焼戻しなどの熱処理によって、用途に合わせて硬さや強度を調整できます。 
 

代表的な鋼種 
 

● SUS410 
比較的加工しやすく、強度と耐食性のバランスに優れた材料です。 
主な用途 
機械部品 
ボルト・ナット 
バルブ部品 
建築部品 
● SUS420J1 
熱処理によって高い硬さを得ることができます。 
主な用途 
刃物 
金型部品 
機械部品 
耐摩耗部品 
● SUS420J2 
SUS420J1よりさらに高い硬さを得やすい材料です。 
主な用途 
ナイフ・刃物 
金型 
工具 
耐摩耗部品 
 

オーステナイト系との違い 
 

代表的なSUS304と比較すると、それぞれの特徴が分かりやすくなります。 
 

項目

マルテンサイト系

オーステナイト系

代表鋼種

SUS410・SUS420J2

SUS304・SUS316

硬さ

高い

比較的低い

熱処理による硬化

◎

基本的に不可

耐摩耗性

高い

比較的低い

耐食性

良好

非常に高い

溶接性

注意が必要

良好

主な用途

刃物・工具・機械部品

筐体・食品・医療機器

精密加工での使い分け 
 

◎ マルテンサイト系を使うケース 
高い硬さが必要 
摩耗に強い材料が必要 
強度を重視する 
刃物や工具として使用する 
→硬さ・強度・耐摩耗性を重視する場合に適しています。 
◎ オーステナイト系を使うケース 
高い耐食性が必要 
溶接加工がある 
外観品質を重視する 
食品・医療などで使用する 
→耐食性・加工性・溶接性を重視する場合に適しています。 
 

加工時の注意点 
 

マルテンサイト系ステンレスは、熱処理の有無によって加工性が大きく変わります。 
● 熱処理後は加工が難しくなる 
硬さが高くなるため、切削工具の摩耗や加工条件に注意が必要です。 
● 溶接には注意が必要 
溶接による熱影響で硬化や割れが発生する可能性があるため、材料や板厚に応じた溶接条件の管理が重要です。 
● 耐食性を過信しない 
「ステンレスだから錆びない」というわけではありません。 
使用環境によっては腐食する可能性があるため、用途に応じた材質選定が必要です。 
 

よくある誤解 
 

「ステンレスは全部、磁石につかない」 
これは誤りです。 
マルテンサイト系ステンレスは磁性を持つため、磁石につきます。 
SUS304などのオーステナイト系とは、この点でも大きく異なります。 
 
マルテンサイト系ステンレスは、  
「ステンレスの耐食性」と「高い硬さ・強度」を両立した材料  
です。  
マルテンサイト系のポイント  
熱処理によって硬化できる  
高い硬さ・強度を持つ  
耐摩耗性に優れる  
磁石につく  
刃物・工具・機械部品などに使用される  
一方で、オーステナイト系と比べると耐食性や溶接性には注意が必要です。  
「錆びにくさ」を優先するのか、「硬さ・強度」を優先するのか。  
製品に求められる性能に合わせて適切なステンレスを選ぶことが、品質の向上につながります。  
 

 

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