精密板金加工|溶接スパッタの発生原因と悪影響
― 品質を左右する“見えない差”とは ―
精密板金加工において、溶接品質は製品全体の完成度を大きく左右します。
その中でも見逃せないのが 溶接スパッタ の問題です。
「スパッタが多い=溶接が荒れている」
現場ではよく言われることですが、なぜ発生し、どんな影響があるのか。
そして私たちはどう向き合っているのか。
今回は、精密板金加工の現場視点で解説します。
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溶接スパッタとは何か?
溶接スパッタとは、アーク溶接やCO2溶接などの工程で発生する
溶融金属の飛散粒子 のことです。
主に以下の溶接方法で発生します。
CO2溶接
MAG溶接
MIG溶接
特に薄板を扱う精密板金加工では、スパッタの影響は無視できません。

溶接スパッタの発生原因
スパッタ発生の主な要因は以下です。
① 溶接条件の不適合
・電流値が高すぎる
・電圧バランスが不適切
・ワイヤ送給速度との不整合
わずかな設定差でも、飛散量は大きく変わります。
② 母材の状態不良
・油分の付着
・酸化皮膜
・メッキ層の影響
精密板金では表面状態が安定していることが重要です。
③ トーチ角度・距離のばらつき
これは完全に“作業者の技量”に関わる部分です。
角度が数度変わるだけでも、アークは不安定になります。
溶接スパッタが与える悪影響
1. 外観品質の低下
製品表面に付着したスパッタは、見た目を損ないます。
塗装前工程では特に致命的です。
2. 後工程の工数増加
・スパッタ除去作業
・研磨工程の追加
・再塗装リスク
結果としてコスト増加・納期遅延につながります。
3. 精度への影響
精密板金加工では、わずかな突起も許容できない場合があります。
スパッタの残存は、組付け不良や接触不良の原因にもなります。
当社が気をつけていること
① 溶接条件の標準化
数値管理の徹底と、材料・板厚ごとに最適条件をデータ化し、製品毎に加工条件を割り出しています。
② 前工程の徹底管理
母材の脱脂・表面確認をルール化。
「溶接前で品質は8割決まる」という意識で取り組んでいます。
③ 設備だけに頼らない確認体制
最新設備だけでなく、
最終確認は必ず“人の目”で行います。
作業員が意識していること
・トーチ角度の安定
・アーク音の変化を聞く
・溶融池の状態を常に観察
数値だけでなく、
経験と感覚を融合させること が重要です。
精密板金加工は「図面通り」だけでなく、
こうした細部への配慮が最終品質を決定します。
溶接スパッタを見れば、会社のレベルが分かる
スパッタの少なさは、
✔ 溶接条件管理力
✔ 作業者の熟練度
✔ 品質意識
これらの総合力の表れです。
精密板金加工を依頼する際、
外観品質や溶接部の仕上がりを確認することは、
会社選びの重要な判断材料になります。
溶接スパッタは単なる“飛び散り”ではありません。
品質、コスト、信頼性に直結する重要な要素です。
私たちは、
知識を結集し、サービス+真心をもって最後まで責任を持つ。
その姿勢は、溶接の細部にも表れます。