精密板金加工で歪みが発生する理由と、その向き合い方
― 現場判断が品質を左右する「図面通り+α」の具体例 ―
精密板金加工において、歪みは避けて通れないテーマです。
どれだけ高性能な設備を使っても、
「歪みをゼロにする」ことは現実的ではありません。
重要なのは、
なぜ歪みが発生するのかを理解し、どう向き合うか。
ここに、精密板金加工会社としての技術力と姿勢が表れます。
今回は、現場視点で
歪みの原因と判断基準、そして「図面通り+α」の考え方を解説します。
なぜ精密板金加工で歪みが発生するのか
歪みの原因は一つではありません。
複数の要因が重なり合って発生します。
① 熱による影響(溶接・スポット溶接)
溶接やスポット溶接では、
局所的に高温が加わり、冷却時に収縮が起こります。
板厚が薄い
溶接点が集中している
連続溶接を行う
こうした条件では、歪みが発生しやすくなります。
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精密板金の溶接種類4選
スポット溶接とは?|精密板金加工で欠かせない接合技術をわかりやすく解説
② 曲げ・成形加工による応力
ベンダー加工やしぼり加工では、
材料内部に応力が残ります。
特に、
立ち上がり寸法が短い曲げ
連続した曲げ形状
連続したバーリング加工や絞りなどの成形品
では、加工後にじわっと歪みが出ることも珍しくありません。
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曲げ加工の種類
③ 材料特性による違い
同じ形状でも、
アルミ
鉄
ステンレス
では、歪み方がまったく異なります。
特にステンレスは、
加工硬化と反発が強く、
図面通りに加工しても歪みが出やすい材料です。

歪みは「不良」なのか?
ここが、精密板金加工の考え方として重要なポイントです。
歪み=不良、ではありません。
重要なのは、
使用上問題があるか
組立に支障が出るか
要求公差を満たしているか
どこまでを許容し、どこからを調整すべきか
を正しく判断することです。
図面には数値が記載されていますが、
実際の使用環境や後工程まで考慮すると、
「現場での最適解」は一つではありません。
「図面通り+α」で行う歪み対策の具体例
当社では、歪みに対して
工程全体を見た判断を行っています。
・溶接順序の工夫
一気に溶接せず、順番を変えて熱を分散
・加工方法の選択
スポット溶接か、カシメかを用途で使い分け
・フットプレスによる歪み取り
最新設備では対応しきれない微調整を、
フットプレスで一つひとつ整える
これらはすべて、
図面を守るために行う「+α」の工程です。
図面を守るために、あえて手間をかける
精密板金加工では、
「早く作ること」よりも
「安定して図面通りを再現すること」が重要です。
歪みを放置すれば、
組立不良・外観不良・再加工につながります。
だからこそ、
見えない部分
数値に出にくい違和感
にも目を向け、
最後まで責任を持って仕上げる。
これが、
知識を結集し、サービス+真心をもって対応する
という私たちの考え方です。