曲げ加工の種類
曲げ加工は、製品の寸法精度や外観品質に大きく影響を与える、精密板金加工において極めて重要な工程です。
当社では、V曲げ・Z曲げ・L曲げ・R曲げ・段曲げ・ヘミング・FR曲げなど、多様な曲げ加工に対応し、目的に応じた最適な加工方法を選定することで、高精度・高品質な製品づくりを実現しています。
本コラムでは、各曲げ加工の特徴や難易度、加工時の工夫ポイントについて解説いたします。
形状や精度、加工効率、使用素材や用途に応じて最適な曲げ方法を選ぶことが、品質とコストの両立において重要です。
お客様のご要望に応じて、最適な曲げ加工をご提案いたします。

V曲げ(V-bending)
説明: V字型の金型(ダイ)に金属板を挿入して曲げる方法。
特徴: エアーベンドとボトムベンドに分かれ、エアーベンドは柔軟で圧力が少ないが精度が低く、ボトムベンドは精度が高いが圧力が大きい。
一般的な板金曲げでの精度管理
V型金型を用いて板材を押し込み曲げる方法です。突き当て位置と力加減を細かくコントロールし、滑りや変形を防ぎます。
小ロットから量産まで対応可能で、筐体・カバーなど精密部品加工に最適です。

Z曲げ
説明: 板金の両端を異なる角度で曲げて、Z字型にする方法。
特徴: 複雑な形状を一度で作成できるが、精度の管理が難しく、加工に時間がかかる。
高精度が求められる曲げ加工
V曲げを応用して板材をZ字形状に成形する際には、板厚に応じて角度にバラつきが生じやすいため、微細な角度調整が不可欠です。
特に、Z曲げ3か所の先端穴を結んで形成される架空円(⌀322±0.1)を正確に出すためには、高い加工精度が求められます。
当社では、曲げ角度のバラつきを最小限に抑えるために、最適な金型の選定と段取りを徹底。また、工程内検査を正確に行うことで、
安定した精度を確保しています。


L曲げ
説明: 板金を90度に曲げて、L字型にする方法。
特徴: 単純で直角に曲げやすいため、コストが低く、基本的な曲げ方法として広く使用される。
直角度管理の徹底
直角度0.05以内の厳しい精度を求められるL曲げは、全数ハイトゲージ確認により公差内保証を行っています。
精密板金部品の組み立て精度や外観に直結する工程です。


R曲げ(ラウンド曲げ)
説明: 曲げ角度がラウンド状(円弧)の曲げを行う方法。
特徴: 曲げ部分が滑らかで美しい仕上がりになるが、専用の金型が必要で、精度が要求される場合もある。
R形状のバラつきを抑える
R曲げは角度や寸法が安定しにくく、滑りやすい材質の場合もあります。
専用治具で全数確認することで寸法を保証し、力の加減や突き当て位置を調整して安定した仕上がりを実現しています。


ヘミング(つぶし曲げ)
説明: 板金の端を内側に丸めて折り返す加工方法。
特徴: 板金の端部を強化でき、部品の強度や外観が向上する。鋭い端部を避けるため、製品の安全性が増す。
先端Rの美しい仕上げ
135°まで曲げた後に潰し(ヘミング)を行い、先端Rを綺麗に仕上げます。潰し型の突き当て方と手加減を工夫し、わずかに戻して加工することがポイントです。


段曲げ
説明: 段差がある形状を加工する方法で、Z曲げより高さがあに形状を専用型で曲げていく方法。
特徴: 段差のある形状の部品を一度で作成できるが、材質・板厚によって制約があり、シム等で段差の調整が可能。
専用型で一発成形
専用金型とスペーサーを用いることで、1回の曲げで段の高さを調整可能。角度や高さの安定性が求められる製品に最適で、効率的な量産にも対応します。


FR曲げ(送り曲げ)
説明: 板金を複数回にわたって少しずつR形状に曲げていく方法。曲げを送る方向に移動しながら、順次段階的に曲げる。
特徴: 複雑な形状や大きな曲げ角度を高精度で作成できるが、加工時間が長くなる。
デンタル機器外装部品
お客様で塗装を行う前提で加工されるFR曲げは、仕上げやパテ処理を行わずとも塗装後の外観を維持できる精度で加工します。曲げ間隔を通常より狭く設定し、金型選定で曲げ跡を抑制。R形状は全数治具で確認し寸法を保証しています。



当社では、精密板金加工の曲げ工程において、V曲げ・Z曲げ・L曲げ・R曲げ・段曲げ・ヘミング・FR曲げなど幅広く対応しています。
当社の技術者による力加減の調整や、専用治具・金型の活用により、寸法精度・外観品質・量産対応力を兼ね備えた製品を提供可能です。
医療機器・産業機器・通信機器・情報機器など、高精度が求められる部品の板金加工も安心してお任せいただけます。