精密板金加工コラム

精密板金加工とプレス加工の違いについて

弊社は、精密板金部品加工の製造をする会社ですが、  『第一さん、プレス屋でしょ?』と聞かれることもあります。  
もちろん、プレスもできますが、協力企業さんにお願いしています。  
プレス化した方がお客様にメリットがある時は、ご提案し、協力企業さんにお願いして、弊社で一貫管理をしております。  
では、『違いってなに?』を明確に解説してみたいと思います!! 

 ~精密板金加工とプレス加工の違いや特徴~  
精密板金加工とプレス加工は、どちらも金属加工における重要な技術ですが、その目的や手法、適用範囲において大きな違いがあります。

精密板金加工とは

精密板金加工とは、薄い金属板(通常は1mm以下の厚さのもの)を使用して、非常に高精度な部品を作り出す加工方法です。 
主に、設計図に基づいて金属板を切断、曲げ、穴あけ、溶接、組み立てなどの工程を経て製品を作り上げます。 
この加工方法は、特に精密な部品や複雑な形状を求められる製品に使用されます。

● 主要な工程 
• 切断: レーザーやパンチングマシンを使って金属板を必要な形に切り出します。  
• 曲げ: 金属板を曲げることで、特定の角度や形状に成形します。これにはプレス機やベンダーを使用します。  
• 穴あけ: 精密な穴を開けるために、レーザーやパンチを使用することが多いです。  
• 溶接: 複数の金属部品を一つに接合するために、TIG溶接やファイバーレーザー溶接、スポット溶接などが使われます。  
• 仕上げ: 最後にバリ取りや表面処理(塗装やメッキなど)を行い、製品としての完成度を高めます。  
精密板金加工は、その名の通り非常に精密であることが求められます。例えば、電子機器の筐体や精密機器の部品、自動車の小型部品、航空機の構造部品など、精密さが求められる製品に広く利用されています。  
  
● 特徴  
• 高精度で微細な加工が可能  
• 複雑な形状の部品が製作できる  
• 切削、曲げ、穴あけ、溶接など複数の加工工程を組み合わせることができる  
• 一品物から少量生産まで対応可能

プレス加工とは

プレス加工は、金属を成形するためにプレス機を使って圧力をかける加工方法です。プレス機は金属板を金型に合わせて押しつぶすことで、所定の形状に加工します。この方法は、特に大量生産において高効率であり、非常に高速で繰り返しの作業が可能です。  
 
● 主要な工程  
• 抜き加工: 金属板に穴を開けるための加工です。プレス機で金型を使って金属板に圧力をかけ、穴を抜きます。  
• 曲げ加工: 金属板を特定の角度に曲げる加工です。曲げ金型を使用して、板を曲げます。  
• 絞り加工: 金属板を内側に絞り込む加工です。容器や筒状の形状を作り出すことができます。  
• 引き抜き加工: 金属板を金型の中で引き抜き、複雑な形状を作る加工です。  
• 成形加工: 薄い金属板を圧力で成形して所定の形状を作り上げます。  
プレス加工は主に自動車部品、家電製品、建材、さらには日用品に至るまで、非常に多くの製品に使用されます。特に、同じ形状を大量に生産する必要がある場合に効率的で、精度も非常に高いため、製造コストを抑えることができます。 
● 特徴  
• 高速で大量生産が可能  
• 大きな圧力で形状を作り出すため、強度や耐久性の高い部品が作れる  
• 金型を使用するため、同一の形状を短時間で複数回生産可能  
• 複雑な形状の成形にも対応可能だが、精度が要求される場合は難易度が上がる

精密板金加工とプレス加工の違い

1) 生産規模  
精密板金加工は、少量生産や単品生産に適しています。(第一金属製作所は、試作・単品~500個の数量を得意としております。)特殊な形状や設計が求められる場合や、少量の生産が必要な場合に非常に有効です。対して、プレス加工は大量生産に向いており、一度金型を作成すれば、同じ形状の製品を高速度で大量に生産することができます。  

2) 加工精度と複雑さ  
精密板金加工は非常に高精度であり、複雑な形状や微細な部品を作成するのに適しています。金属板に直接加工を施すため、細かい調整や精密な作業が可能です。プレス加工も高精度な製品を作ることができますが、金型に依存するため、非常に複雑な形状や微細な加工には限界があります。  

3) 製品形状の自由度  
精密板金加工は形状の自由度が高く、設計通りに様々な形に仕上げることができます。特に、部品に複雑な穴や切り込みが必要な場合、精密板金加工が優れています。プレス加工は金型を使用するため、最初に設計した形状を忠実に再現できますが、金型を作る際に複雑な形状を作ることが難しくなります。  

4) コスト面  
精密板金加工は、少量生産でも対応できるため、試作段階や短期間での製作に向いていますが、金型の準備や複数の工程が必要なため、大量生産にはコストがかさむことがあります。プレス加工は金型が高額なため、初期投資が大きいものの、大量生産を行う場合には単価を大幅に下げることができ、コストパフォーマンスが非常に高くなります。  

5) 使用される業界  
精密板金加工は、特に電子機器や精密機器、自動車部品など、精度や複雑な設計が求められる業界に広く利用されています。プレス加工は、主に自動車業界や家電、建材、日用品など、大量生産を行う業界でよく使われています。  
  
結論  
精密板金加工とプレス加工は、それぞれに特長があり、用途に応じて使い分けが必要です。精密板金加工は高精度で複雑な部品を作るのに適しており、多様な形状を求められる製品に向いています。 
一方、プレス加工は大量生産を効率的に行うために優れており、製造コストを低く抑えることができます。 
どちらの技術も金属加工において重要な役割を果たしており、製品の特性や生産規模に応じて適切な方法を選ぶことが成功の鍵となります。

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