精密板金加工と車の板金の違いについて
お仕事何をされているんですか?と聞かれ、 【精密板金加工のお仕事です】ですと答えると、必ず【車屋さん】と言われます。
板金=車の板金
というイメージが多いようです。
今日は、精密板金加工と車の板金の違いについて説明したいと思います!!
精密板金加工と車の板金は、共に「板金」と呼ばれる金属加工の一種ですが、その用途、技術、工程には大きな違いがあります。以下では、この二つの板金の違いについて詳しく説明します。
精密板金加工の概要
精密板金加工は、主に高精度を求められる金属部品の製造を目的とした加工技術です。
この加工法では、薄い金属板(通常は鉄、ステンレス、アルミニウムなど)を使用して、非常に精密な形状を作り出します。
精密板金加工は、機械や電子機器、医療機器、航空機部品など、さまざまな分野で使用される部品の製造に活用されます。
精密板金加工において重要なのは、非常に高い精度での切断、曲げ、絞り、溶接、打抜き、プレスなどの技術です。
これらの加工技術を駆使して、複雑な形状や高精度が要求される部品を作り上げます。
例えば、電子機器のケースや、医療機器の精密なパーツ、あるいは精密機器の構造部品などがこの方法で作られます。
車の板金の概要
車の板金は、主に自動車のボディの修理や補修を行うための加工技術です。
自動車の板金は、事故などで損傷した車体の修復や、車両の外装部品の交換や修理に使われます。
車の板金作業には、車の外装パネル(フェンダー、ドア、ボンネットなど)を修復するために、板金を引き伸ばしたり、形を整えたりする技術が含まれます。
車の板金は、基本的に外観を重視するため、精密板金加工と比べると、精度や仕上がりの精密さは要求されないことが多いです。
特に、修理を目的とする場合、元々の車両の形状をできるだけ忠実に復元することが主な目的となります。
車の板金では、引き伸ばしやプレス、溶接、ペイントといった作業が行われ、最終的に車両の外観が修復されます。
技術的な違い
• 精度の要求:
精密板金加工では、寸法精度や形状精度が非常に厳しく求められます。機械的な動作が微細であり、部品の誤差が製品全体に影響を及ぼすため、高精度な加工が必須です。一方、車の板金では、外観の復元が主な目的であり、精密な寸法精度よりも形状の修復が重要視されます。事故による修理が多いため、多少の誤差が許容されることもあります。
• 使用される材料:
精密板金では、特に高精度が求められるため、ステンレス鋼、アルミニウム、特殊合金など、精密な加工が可能な金属が多く使われます。また、使用する板の厚さも薄く、精密な切断や加工が可能な材料が選ばれます。車の板金では、車体の強度や軽量化を考慮して、主に鉄やアルミニウムが使われますが、精密な加工が要求されるわけではないため、強度や耐久性が優先されます。
• 加工技術:
精密板金加工では、レーザー加工、CNCプレス機、パンチング、精密溶接などの高度な技術が使用されます。これにより、極めて高い精度での加工が可能となります。一方、車の板金では、主に手作業や機械での引き伸ばし、パネルの整形、溶接などが行われます。板金の形状や傷を直すために、ペイントやフィラー材の使用が一般的です。
• 目的と用途:
精密板金加工の主な目的は、精密な部品や構造物を製造することです。これにより、航空機、電子機器、医療機器、機械部品などで使用される精密な部品が作られます。車の板金は、車両の外装や構造の修理・補修を目的とし、事故後の復元や部品交換、塗装などが含まれます。
工程の違い
• 精密板金の工程:
精密板金加工では、まず設計データに基づいて金属板が切断され、次に曲げや絞りが行われます。その後、組み立てや溶接を行い、最終的に表面処理や仕上げが行われます。これらの工程では、ミリ単位での精度が要求されるため、機械加工を多く取り入れた自動化が進んでいます。
• 車の板金の工程:
車の板金は、主に車両の外装パネルを交換したり、損傷部分を修復する工程です。損傷を受けた部品を取り外し、新しいパーツを取り付けるか、既存のパネルを修復します。修復には、板金を引き伸ばす、プレスして形を整える、溶接して固定する、塗装を行うなどの作業が含まれます。工程が比較的簡単であり、作業の迅速さやコスト効率が重視されることが多いです。
まとめ
精密板金加工と車の板金は、同じ「板金」という言葉を使いますが、その用途、精度、技術において大きな違いがあります。精密板金加工は高精度を要求される製品を製造するために用いられる高度な技術であり、航空機や機械部品、電子機器などの精密な部品が作られます。
一方、車の板金は主に自動車の外装修理を目的とした技術であり、外観や形状の復元が中心となります。どちらも板金加工ですが、その目的や求められる技術はまったく異なるため、それぞれに特化した技術と設備が必要です。
さてさて・・・
弊社の社員全員が、自身の会社の【板金】の説明をここまでしてくれていたら最高だなという気持ちです。